あらゆる目の病のケアに用いられる

メグスリノキ

「適応症は、眼精疲労、結膜炎、麦粒腫、白内障などのほか、
かつては肝臓病にも用いられたわが国特産の木

林真一郎(薬剤師 グリーンフラスコ(株)代表)


コンピューターの普及で、長時間にわたって画面の細かい字に向かい合うことによる眼の疲れを訴える人が急増しています。眼の疲れはそこだけにとどまらず頭痛や肩こりを引き起こすため、やっかいです。また糖尿病の合併症である糖尿病性網膜炎や白内障なども急増しているため、高齢化社会を迎えて簡単で効果的な 目のケアが求められています。そこで注目を集めているのが、その名の通り、あらゆる目の病のケアに用いられるメグスリノキです。メグスリノキはわが国特産のカエデ科に属する落葉高木で、青森県、秋田県を除く本州全域と四国、九州の一部の標高700メートル前後の山中に自生しています。イチョウのように雌雄 異株で、5月から6月にかけて雌花・雄花ともに淡黄色の花を咲かせます。

メグスリノキは地方によってチョウジャノキ(長者の木)やセンリガンノキ(千里眼の木)と呼ばれますが正式な学名はAcernikoenseと言います。学名に日光という日本の地名が入っているのも極めて珍しいケースと言えますが、これは江戸時代の終わり頃にロシアの植物学者のマキシモウイッチが函館に滞在した際に、須川長之助という日本人の助手を使って日本各地の植物採集を行ない、その須川が日光でこの植物を採取したことによるのです。
メグスリノキの有効成分はトリテルペノイドのアミリンやβ・シトステロール、フラボノールのクエルセチン、エラグ酸、カテキンなどが知られていますが、作用の本体の成分はどうやらロドデンドロールと呼ばれるもので、これに多様な成分が働いて相乗効果を発揮しているようです。
適応症としては眼精疲労や結膜炎、麦粒腫(ものもらい)、白内障など多岐にわたりますが、興味深いのは昔から目の病の他に肝炎など肝臓病にも用いられてきたことです。これは東洋医学の目と肝の関係を重視する考え方の実践と考えられます。代表的な古典である『傷寒論』や『素問』『霊枢』によれば「肝気は目に通じていて、肝が安定すれば目も五色を見きわめることができる」とあります。実際に漢方の処方では目の病気を治療するのに肝を強化する方策をとることがあります。


臓器や組織の症状に対してその部位に直接働きかけるのが西洋医学の考え方と言えますが、東洋医学ではそれぞれが互いに関係性を有しているため、その部位で はなく離れたところを手当てすることがあるのが奥深いところと言えるでしょう。部分ではなく全体を看るのが自然療法の特徴であり、有効成分をたったひとつ に特定したり抽出、合成したりせず、多様な成分をそのまま生かして用いるのもこの考え方に通底しているのです。

1.メグスリノキの抽出法

小枝や葉、樹皮を天日で自然乾燥し細かく刻みます。1日量として5~15gを600ミリリットルの水で煎じ、沸騰したら5分ほど煮つめます。できあがった煎液を3回に分けて服用しますが、服用時はもう1度、適温まであたためて飲用します。

2.目や肝臓の不調に用いるその他のハーブ

メグスリノキはやや苦みがありますが飲みにくいほどではありません。メグスリノキではなく他のハーブが飲みたい時のために、同じ目的で用いられる西洋のハーブ2種をご紹介します。

ポットマリーゴールド

橙色の花弁ひとつかみを熱湯200ミリリットルで3分間抽出したものを1日3回服用します。このあざやかな橙色はカロテノイド色素の一種であるルテインやゼアキサンチンと呼ばれる色素成分で、目のトラブルを予防します。また加歳に伴って黄斑と呼ばれる眼の部位に障害を起こす加歳性黄斑変性症の予防にも有効です。やや苦みがありますが飲みにくい場合はペパーミントと等量でブレンドします。

ビルベリー

ビルベリーはブルーベリーの近縁種でアゼアントシアニジンと呼ばれる青色色素がパソコンなどによる眼精疲労の予防に有効です。ビルベリー小さじ1杯を熱湯200ミリリットルで5分間抽出したものを1日3回服用します。


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