気力・体力を充実させストレスに負けない身体をつくる

クコ

胸の痛みや糖尿病、関節の痛みや目のかすみ、
また入浴に用いると皮膚や髪の若さを保ち病気を
寄せつけないとされる。

林真一郎(薬剤師 グリーンフラスコ(株)代表)


ハーブにはさまざまな有効成分が含まれていますが、その中のたったひとつの成分に着目してその物質を取り出したのが医薬品の始まりです。抗生物質のように特定の菌を狙い撃ちする場合は医薬品の方が効果的と言えますが、ストレスが原因となって引き起こされる心身症やライフスタイルの誤りが元となって発症する生活習慣病ではハーブの方が適していることが多いのです。なぜならこうした病気では特定の臓器だけでなく、からだ全体のさまざまな機能の乱れとなって症状が現れるためです。今回ご紹介するクコは自然治癒力を高めて心身症を予防し、また細胞レベルで老化を制御して若さを保つため、薬膳への関心の高まり もあって大きな注目を集めているハーブです。

クコは本州、四国、九州に自生するナス科の落葉低木で高さは1~2メートルほどに成長します。夏に淡い紫色の五弁の花を咲かせ、秋には楕円形の赤く成熟した直径2センチほどの果実をつけます。この実を乾燥させたのが生薬のクコ子で、漢方では根の皮を地骨皮と称して用います。適応症としては本草網目では胸の痛みや糖尿病、関節の痛みや目のかすみなどによく効くとされています。また入浴に用いると皮膚や髪の若さを保ち病気を寄せつけないとされています。
クコの有効成分の研究では、葉にはフラボノイドのルチン(rutin)を含み、果実にはアルカロイドのベタイン(betain)が見出されています。フラボノイドは細胞の酸化を防ぐ強力な抗酸化作用を有しており、とくにその中でもルチンは毛細血管を丈夫に保つ働きがあるため循環器系の生活習慣病の予防に向いています。クコが昔から高血圧や動脈硬化に用いられてきたのはこのためです。またクコは長命の霊薬とされ、これを服用していると気力、体力が充実して仙人になれると言われ、平安時代には貴族の間で愛飲されたというのもうなずけます。


春から夏にかけて若葉を摘んでよく煮ておひたしにしたり、ハーブティーにして服用する方法もあります。若葉をさっとゆがいて塩をふり、炊きあがったご飯にまぜてクコ飯にしてもよいでしょう。
ク コの実を酒に浸して成分を抽出したものが有名なクコ酒です。ハーブをアルコールに漬けて成分を溶出させる方法は古今東西を問わず見られます。ヨーロッパの リキュールやスピリッツも元は薬用酒と言えるでしょう。アルコールは成分を抽出する力が強く、また薬用酒やチンキ剤は服用した際に体内での吸収がよいのも 利点です。さらにアルコールそのものが防腐効果があるため保存性にもすぐれ、服用する際に目的や自分の体調と相談して量を調節できるのも錠剤やカプセル剤にはない利点と言えます。

1.クコの葉のハーブティー

クコの葉を若いうちに摘んで陰干しにして乾燥します。クコの葉ひとつかみを水500ミリリットルで20分ほど弱火で煎じ、お茶がわりに服用します。乾燥したクコ子をブレンドしてもよいでしょう。利尿作用があり、血管を健やかに保つため高血圧や動脈硬化、狭心症、それに糖尿病の合併症の予防に効果的です。

2.クコ子のチンキ剤(クコ酒)

乾燥したクコ子250~500グラムをホワイトリカ11.8リットルに漬け込んで2カ月ほど放置します。甘みが欲しいときはこれに砂糖200グラムを加えておきます。クコ酒は1回に5ミリリットルを飲みます。疲労回復や滋養強壮には1日1~3回飲むようにします。冷え症や低血圧の人は寝る前に飲んでベッドに入ります。顔色がすぐれないときや胃が弱っていて食事が思うようにできないときなどにも効果的です。

3.クコ子の入浴剤(全身浴・部分浴)

クコ酒をティーカップ1杯(約200ミリリットル)、バスタブに入れてよくかきまぜてから入浴します。冷え症や肌あれに効果があります。足の先が冷えるときは洗面器にやや熱い湯を入れ、クコ酒をティーカップ1/2杯(約100ミリリットル)入れてよくかきまぜてから足首の上のあたりまでつけて10~15分間足浴を行ないます。自然塩をひとつかみ入れるとさらに保温効果が高まります。


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