サプリメントを考える

サプリメントの「フードファディズム」的側面を問う

「飽食の時代」といわれる現代だが、サプリメント(栄養補助食品)
などの健康食品がもてはやされている。
「いい食べ物・悪い食べ物」に染め分けられている。
私たちの食生活は、どこかが歪んでいるのではないか。
食べ物情報のあり方を見つめる栄養の専門家が問いかける。

プロフィール写真

高橋久仁子(たかはし・くにこ)群馬大学教育学部教授
1972年日本女子大学家政学部食物学科卒業。82年東北大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士。88年群馬大学助教授、九六年より教育学部教授。妊娠と泌乳、味覚感受性、微量元素などをテーマにしてきたが、最近は食生活教育のあり方を模索している。著書に『「食べもの情報」ウソ・ホント』(講談社)など。

食品は、「元気になる」「病気が予防できる」など、もっぱら機能面が注目されることが多くなってきた。高橋久仁子群馬大学教授は『「食べもの情報」ウソ・ホント』という本で、こうした考え方が「フード・ファディズム」であると指摘している。
同教授に、そのシンボルともいえるサプリメントを解説してもらった。

特定の栄養素だけが不足するわけではない


「青魚のDHAを摂ると頭がよくなる」
「緑黄色野菜のベータカロチンはがん予防に役立つ」 
日常の中でこうした会話が目立つようになってきた。テレビや雑誌などでもさかんに食べ物の機能性が強調される。
確かに食べ物と健康は密接につながっているが、それは長い時間をかけた食習慣が健康に反映されるということである。それなのにあたかも「それを食べると健康になる」とか、逆に「身体をこわす」というふうに言われる。
高橋久仁子さんは著書『「食べもの情報」ウソ・ホント』の中で、こうした「食べ物信仰」は「フードファディズム(Food fad ism)」という言葉で説明できるのではないかという。この言葉は「食物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に信じたり評価すること」と定義される。 フードファディズムは、食品や食品成分に”薬効“を期待させ、”治療“に使わせたりする。また、万能薬的効能をうたう目新しい「食品」を流行させる。今 日、日本で「健康食品」と呼ばれるものがもてはやされ、七〇〇〇億円といわれる市場が作られているのも、フードファディズムの影響が大きいようだ。
さて、その健康食品は大きく二つに分けられる。一つは「機能性食品」で、食物繊維や不飽和脂肪酸のDHA、虫歯予防のキシリトールなど、「健康にいい」とされる成分を配合し通常の”食べ物“の形をしており、「特定保健用食品」とも呼ばれる。

一方、食品の有効成分を錠剤やカプセルなど”薬“の形にしたものが「サプリメント」で、英語の「ダイエタリー・サプリメント」の略だ。「栄養補助食品」と訳されている。   
健康なイメージは与えているが、日本では今のところサプリメントについて明確な定義はなく、これを規制する法律もない。人間の口に入るものなら、「サプリメント」として売ってもかまわないのである。
関連業者などで作る(財)日本健康・栄養食品協会が、厚生省の指導の下、独自の品質、規格基準を定め、それをクリアしたものに認定(JHFAマーク)を与えている。現在、同協会で規格基準が作製されているのは、DHAやベータカロチン含有食品など四十数種類だが、協会に属さない業者も多い。そして、これらの業者は、「食生活が欧米化して生活習慣病が増えている」とか、「忙しい現代人はゆっくり食事できないので、体に必要な栄養素が確保できない」と、サプリメントを売り込んでいる。多くの消費者は、「身体にいいものだから」と信じて受け入れているのである。

「私は食事というものを、モノに分断して、何が足りないからこれを補えばいいという考えには賛成できません。私たちが本来食べている食事というものはそんなふうに分断できるものなのでしょうか。サプリメントが無駄だとはいいませんが、サプリメントであたかも健康が買えるような言い方は非常におかしいと基本的に思っています。
食物繊維が端的な例です。現代人の食生活は高度に精製されたものが多いため、どうしても食物繊維は不足しがちだといわれます。でも、食物繊維が足りない食生活とは、野菜も海藻も豆類も足りないのでしょうから、食物繊維食品を食べて補おうという結論の持って行き方はおかしいと思います。食生活全体の見直しが必要なのに、食物繊維だけ補えば済むような錯覚を起こさせる。それで何とかなってしまうという考え方がますます栄養の偏りを助長するわけです」

医薬品にくみ入れるべきサプリメントも多い

アメリカの健康食品市場は日本の一・五倍といわれ、世界最大だ。コンビニエンス・ストアやスーパーマーケットでもハーブやビタミン剤をサプリメントとして買うことができる。特にビタミン剤は70年代に裁判によって「ビタミンは食品」とされ、以来「国民の半数がビタミンを摂っている」という状況が生まれた。ビタミンやミネラルは栄養補助剤としての役割だけでなく、がん予防や老化防止などに効果的であることが強調され、これを大量に服用する「メガビタミン療法」「メガミネラル療法」が流行し、需要は増すばかりだという。医療費の自己負担率の高いアメリカでは、「自分の身体は自分で守る」意識が高いためともいわれる。
一方、日本ではこれまで、昭和四六年に出された薬務局長通知(「四六通知」と呼ばれる)に医薬品と食品の分類が示されてきた。アメリカはサプリメントの市場を日本にも広げるため、従来「医薬品」とされてきたハーブやビタミン、ミネラルを「食品」として流通に乗せさせようと四六通知の見直しなど規制緩和を迫っている。厚生省は「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」を設けてサプリメントの位置づけについて検討しているが、すでに規制緩和はタイムテーブルに乗っているといわれる。

「こと食生活に関してアメリカと日本ではかなり環境が違うのですから、簡単にサプリメントを輸入して欲しくはありません。また、ハーブの一つであるイチョウ葉エキスなどは、ボケや脳血管障害を予防するといわれますが、かなり薬理成分が強く、現実にそういう作用はあると思います。ですから、本来医薬品として考えるべきものなのに、いわゆる”健康茶“としての利用が勧められていて、『本当に大丈夫なのかな』と感じさせられます。『天然のものは安全だ』という俗説がありますが、害がなければ効果があるのでしょうか。効果があるものには何らかの副作用があるはずです。サプリメントはある場合は医薬品のように『こんなに効果・効能がある』と強調され、あるときは『自然の食品だから害はない』というように、医薬品と食品の間をうますりぬけて宣伝していることがあります。アガリスクやプロポリスなども、仮りに効果をうたうのであれば医薬品として規定すべきではないでしょうか。規制緩和の時代とはいえ、食品として何の網もかぶせられないのは困ったことです」

「サプリメントだから安全」という神話


消費者から国民生活センターに寄せられる健康食品の苦情件数は、年々増えており、この10年で約3倍になった。とくに販売方法や解約に関するものが目立っている。※グラフ1参照
一方、サプリメントによる健康被害も起こっている。最大のものは1989年秋、アメリカで起こった「トリプトファン事件」だ。日本のS社が販売していた安 眠効果をうたう健康食品のトリプトファンを食べた人たちが、好酸球増加・筋肉痛症候群(EMS)という病気にかかり、死者三八人、被害者1500人以上を 出したのである。原因は製造工程で不純物がまぎれこんだことだった。


現在サプリメントとしておなじみのクロレラも、かつて光過敏症という健康被害を引き起こしたことがある。クロレラはクロロフィルをたくさん含んでいるが、 このクロロフィルが分解してフェオホルバイドという物質になるとこうした障害が起こる。この事件がきっかけになって、サプリメントには、食べても害はない かどうかの規格基準が要求されるようになった。
また、サプリメントには摂り過ぎる危険がつきまとう。食事で栄養素をとろうとしたら適度なところで満腹になってしまうので過剰には食べられないという「安全弁」が働くが、栄養素が凝縮したサプリメントなら、簡単に摂取過剰になってしまうのである。アメリカでは6歳以下の子供が鉄のサプリメントを過剰に取って死亡する例があった。

「腎臓病で治療を受けている患者が、クロレラを食べたために病気を悪化させた例を聞いたことがあります。腎臓病の人はたんぱく制限をされ『アミノ酸組成のいいものを少量摂る』というのが治療原則ですが、この患者は『健康食だから』とクロレラを薦められて食べました。じつはクロレラはタンパクが多く、アミノ酸組成として偏りもあります。クロレラ自体は悪いものではないのですが、たまたまそこに含まれるタンパク質が腎臓病の人にはマイナスに働く場合がある。『食品だから安全だ』という誤解が招くいい例です。
ビタミンの過剰障害もサプリメントの問題と考えなければなりません。食事ならいくらお腹に積め込んでも、せいぜい普段の食事量の三倍までですが、サプリメントならたとえばビタミンAなどは1日の所要量の100倍くらい簡単に摂れます。妊娠中の女性がビタミンAを過剰摂取すると赤ちゃんに奇形が生じるなどの障害も報告されています。また、アメリカのメガビタミン療法の一つに『月経前症候群の改善にビタミンB6を摂る』というものがありますが、月経前症候群だと自己判断してビタミンB6を大量服用し、過剰摂取のため神経障害を起こしたケースが出ています」

サプリメントとの正しいつきあい方

健康を維持していくためには何より食生活においてバランスがとれた食事をとることが基本であり、通常の食品によりこのような食生活を実現することが望ましい。サプリメントはこのような食生活をすることが難しい場合や、病気などで摂るべき栄養素に特別の配慮が必要な場合、あくまでも二次的・補完的に用いるというのが本来の目的といえる。ところが、食品と健康に関する様々な情報が氾濫している中で、こうしたサプリメントのあるべき姿は見失われがちだ。
本年六月、厚生省は来年度から使われる「日本人の栄養所要量」(第六次改定)を発表した。昭和四十年代当時からとってきた「栄養不足改善」策は、「栄養の取り過ぎ防止」策へと大きく転換した。背景にはサプリメントの乱用などが進み、すでに過剰摂取している人もいるという事実があると見ることができる。もう一度食事本来の在り方を考えることこそ、サプリメントとの正しい付き合い方を知ることになるのではないだろうか。

「たとえばカルシウムなどは一日の所要量が600ミリグラムとされていますが、日本人の食生活では注意してもなかなかこれを確保することは容易ではありません。そこで、『500ミリグラムはいくけれど、どうしても100ミリグラムくらいは足りないな』というふうに十分に自分の食生活の特徴や癖を理解して、『自分はこれ以上牛乳を飲むのは胃に負担がかかって無理』というふうに考えて、カルシウム補助食品を100ミリグラム分とか200ミリグラム分だけ食べて補うというのは一つの方法でしょう。ところが、人はそんな面倒くさいことをまずしたがらない。『足りなければサプリメントを食べればよい』というふうに短絡的になってしまうのが普通です。
アメリカ人は脂肪の摂りすぎ、タンパク質の摂りすぎ、カロリーの摂りすぎは明らかな事実なのに、これを減らすことができない。そんなに食べたことを帳消しにするためのダイエット食品というものを研究しています。世界の多くの人が飢えているのに、食べたものを無駄にするという研究があっていいのでしょうか。私はサプリメントはあってはならないものとは思いませんが、いわゆるダイエット食品というものにはある種の怒りさえ感じます」

サプリメントの摂取の「見境」を知る

厚生省がこの6月、5年ぶりに決めた「第六次日本人の栄養所要量」の改訂で、一八のビタミン・ミネラルの「許容上限摂取量」が初めて設定された。食生活のカバーをサプリメントに頼る人が増えて、ビタミン・ミネラルが過剰摂取になってしまうケースが少なくない。その結果、健康に悪影響が及ぶ危険性も出てくる。東京農業大学応用生物科学部生体機能防衛学教室の岩間昌彦薬学博士に、適正な栄養摂取のポイントをうかがった。

岩間昌彦さん「日本人の栄養所要量で許容上限を決めたということは、サプリメントなどを食べることによって現にビタミンやミネラルの過剰摂取ということが起こっている からだと思います。以前は栄養の不足ということが問題だったのに、いまや過剰摂取を問題にしなければならない時代になったのです」
生体機能防衛学という分野の専門家である岩間昌彦さんはこう話す。これまでビタミンやミネラルは欠乏するとどうなるかについてはよく研究されてきたが、過 剰摂取についてはあまり知られていなかった。岩間さんは主にこの過剰摂取がどのような障害をもたらすかを研究している。「いちばん過剰摂取の害がよく知ら れているのはビタミンAです。イシナギという魚の肝臓はAの含有量が高く、これを食べると『イシナギ中毒』という食中毒を起こすことさえ知られています。 また、皮膚が剥離したり水泡ができるなどの副作用が現れることがあります。

抗がん栄養素といわれるベータカロチンは体内でビタミンAに変わりますが、ベータカロチンとして過剰摂取した場合はAの過剰障害はないといわれてきました。ところが、最近ではベータカロチンの過剰摂取自体ががんを増やすなどの障害をもたらすといわれてきました。さらに、ビタミンのうちで過剰障害が生じるのはAなどの脂溶性のものだけといわれていたのですが、ビタミンCの過剰摂取は結石を増やすのではないかと指摘されるなど、水溶性のビタミンも摂りすぎを問題とされるようになっています」
まさにビタミンやミネラルなどの栄養素も、「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということだったのだ。そして、それらを簡単に摂ることのできるサプリメント類は、過剰摂取の害を招きやすい。
「例えばキャベツなどの十字架植物と呼ばれる野菜には、がんを抑える成分が豊富だといわれますが、調べてみると発がん性のある成分も見つかっているのです。つまり、自然な食べ物はそうしたものが相殺し合って結果的に身体にいい働きをしているわけです。ところが、サプリメントは単独にある成分だけを取り出してあるのですから、まったく本来の食品と違う働き方をすると考えなければなりません。まだまだその働き方はわかっていないのですから、『身体にいいから』と、見境なくサプリメントを食べることはけっして好ましくないと思います」新しい栄養所要量の基準は、「見境」を与えてくれたようだ。

ビタミンの摂取基準
ビタミンA
一日所要量:男性600μgRE(2000IU)、女性540μgRE(1800IU)許容上限摂取量:1500μgRE(5000IU)(RE・レチノール当量)
過剰摂取による健康障害:頭痛、吐き気、疲労感などが出る。

ビタミンD
一日所要量:2.5μg(100IU)
許容上限摂取量:50μg(2000IU)
過剰摂取による健康障害:吐き気や下痢、動脈硬化を起こす心配があるといわれる。

ビタミンE

一日所要量:男性10mgα・TE、女性8mgα・TE許容上限摂取量:600mgα・TE
(α-TE=α-トコフェロール当量)
過剰摂取による健康障害:不明

ビタミンK

一日所要量:男性600μgRE(2000IU)、女性540μgRE(1800IU)、許容上限摂取量:30000μgRE
過剰摂取による健康障害:血液を凝固させる作用があり、とくに血栓症の人は摂取量が制限されている。

ビタミンB1
一日所要量:男性1.1mg、女性0.8mg
過剰摂取による健康障害:不明

ビタミンB2
一日所要量:男性1.2mg、女性1.0mg
過剰摂取による健康障害:不明

ナイアシン
一日所要量:男性17mg(30歳以上16mg)、女性13g許容上限摂取量:30mg
過剰摂取による健康障害:皮膚がかゆくなることがある。

ビタミンB6
一日所要量男性1.6mg、女性1.2mg許容上限摂取量:100mg
過剰摂取による健康障害:神経系にトラブルが起こる可能性がある。

葉酸
一日所要量:200ミクロンg
許容上限量:1000μg
過剰摂取による健康障害:不明

ビタミンB12
一日所要量2.4μg
許容上限量摂取--
過剰摂取による健康障害:不明

ビオチン
一日所要量30μg
許容上限量摂取--
過剰摂取による健康障害:不明

パントテン酸
一日所要量:5mg
許容上限摂取量:--
過剰摂取による健康障害:不明

ビタミンC
一日所要量100mg
許容上限摂取量:--
過剰摂取による健康障害:不明
ミネラルの摂取基準
カルシウム
一日所要量:男性700mg(30歳以上600mg)、女性600mg許容上限
摂取摂取量:2500mg
過剰摂取による健康障害:泌尿器などの結石の原因になる。


一日所要量:男性10mg、女性12mg
許容上限摂取量:40mg
過剰摂取による健康障害:血が濃くなりすぎる。

リン
一日所要量男性700mg,男性400mg許容上限摂取量:4000mg
過剰摂取による健康障害:腎臓に問題があると、摂取量が制限される。副甲状腺機能亢進と骨代謝障害を起こすこともある。

マグネシウム
一日所要量男性310mg、女性250mg許容上限摂取量:700mg
過剰摂取による健康障害:

カリウム
一日所要量:男性2000mg 女性2000mg
過剰摂取による健康障害:


一日所要量:男性1.8mg,女性1.6mg許容上限摂取量:9mg
過剰摂取による健康障害:

ヨウ素
一日所要量150μg、許容上限摂取量3mg
過剰摂取による健康障害:甲状腺腫を起こす。

マンガン
一日所要量男性4.0mg、女性3.0mg許容上限量:10mg
過剰摂取による健康障害:

セレン
一日所要量:男性60μg、女性45μg
上限許容量:250μg
過剰摂取による健康障害:毒性が強く吐き気や脱毛などの中毒症状が出ることがある。

地域特産品がサプリメントに

群馬、福島、栃木、茨城などの山里へ旅すると、このメグスリノキと呼ばれる樹木の樹皮や小枝のチップを袋に詰めたものをよく売っている。これを煎じた民間薬が、昔から山で仕事をする人々の間で愛飲されたり、目を洗うために使われてきた。効能は、白内障、結膜炎などの眼病を治し、肝炎、二日酔いなどを改善するとされる。群馬県中之条町では、中之条営林署と沢田農協がメグスリノキドリンクを開発し、さらに昭和大学医学部と研究を進め、がんにも対応できるというメグスリノキにビタミンCとサンザシの成分も加えた「メグスリノキ サンザシ C」という新製品を投入している。 

中之条町薬王園全国の自治体ではこうした地域特産のサプリメントで「村おこし」を目指す傾向が目立つようになってきた。日本一の長寿県として知られる沖縄では、琉球王朝 の秘薬とされた「うっちん粉」のサプリメントに力を入れているところだ。お茶どころの静岡ではお茶の有効成分カテキンを、ワインの産地である山梨ではおな じみになったポリフェノールをサプリメント化している。「健康」をキーワードにしながら、自らの赤字地方財政を立て直す「特効薬」としたい様子である。

アメリカで人気のハーブ

イチョウ葉エキス
イチョウの葉は中国では4000年近く前から薬として用いられてきた。約30年前から欧米の医学者はイチョウの葉に特有なフラボノイドやテルペノイドなどの有効成分を独自の技術で精製抽出した「イチョウ葉エキス」(Ginkgo Biloba Extract)の研究を始め、抹消血流、特に大脳の血流障害や脳動脈硬化に作用し、記憶力低下、脳機能、憂鬱感などを改善する作用があるとしてきた。ヨーロッパ医薬品として使われており、フランスではイチョウ葉エキス製剤は全医薬品中売り上げランキングで第一位になっている。アメリカでも人気はうなぎで、ハーブ製品のランキングではガーリック、高麗人参などとともにトップクラスを占めるようになっている。

エキナセア
アメリカ原住民に伝統的に用いられてきたハーブ。北アメリカ平原一帯に生息する野生植物で、現在では医薬用に限り栽培されている。抗生物質作用、抗ウィルス作用、抗炎症作用があり、免疫系、リンパ系、各腺の炎症に有効と言われる。最近ドイツで行われた研究により、抗生物質作用、抗バクテリア作用、免疫機構を強めることが報告されている。

ゴールデン・シール
伝統的療法として、高血圧、うつ病、エネルギー増進、心臓強化、記憶力増強、神経衰弱の処方に用いられてきたハーブ。ゴールデン・シールは免疫機構を刺激し、風邪、高熱、消化器疾患、感染性下痢に対する抵抗力を高めるといわれる。

サプリメントブーム小史

機能性食品の購買層は圧倒的に若い女性だといわれる。「便秘予防のための食物繊維飲料」「貧血予防のための鉄剤入り食品」さらに、一本食べれば必要な栄養素が確保できるとうたうバランス栄養食などの利用者はほとんどが女性だ。健康志向の高まりの中、これらの食品はほとんどファッション感覚で消費されている。そして、ほとんどの商品はブームが終わると市場から消えていく。次のようなサプリメントブーム史を振り返ると、サプリメントとは何かの一面が見えてくるのではないだろうか。

1975  紅茶キノコ、深海ザメエキスが「がんに効く」と評判に、クロレラ・ブーム
1980  ハトムギ茶が人気に、エアロビクス
1982  プルーン人気が急上昇
1984  あまちゃづる・根こんぶがピークに
1988  酢大豆
1989  飲尿療法が話題に
1993  野菜スープ
1994  ヨーグルトきのこが雑誌に出る
1995  ギムネマ茶ブーム
1996  ココアブーム
1998  赤ワインブーム

 


TOP