思春期の性の悩みを探る

「援助交際」という名の性非行が蔓延している。
心と身体がアンバランスなままに成長し、気づかぬままに自らを傷つけている少女たち。
性の悩みと好奇心に揺れる思春期の少年・少女たちをサポートするホームページを紹介する。

吉村克己 (ルポライター)

女子高生の4%が援助交際

「援助交際」とは実に嫌なネーミングだ。実際の行為は援助でもなければ、交際でもない。おカネのほしい少女と無節操な男どもの愚かで哀れな取り合わせである。
彼女たちはいったい、どのような意識で援助交際を行っているのだろうか。
ベネッセコーポレーションの開設している「チャイルド・リサーチ・ネット」というホームページには少年少女たちに関するさまざまなアンケート調査などが掲載されている。
このサイトから「高校生」というコーナーにはいると、『モノグラフ・高校生』のタイトルが現れるが、これはベネッセ教育研究所が1978年に創刊した子供たちの意識・行動調査資料だ。この中で、97年度VOL.52「援助交際」には興味深いデータが示されている。
過去に援助交際を体験したという女子高校生の割合が4.4%。東京の学校に限定すると、その数字は5.9%に跳ね上がる。また全体平均で2年生が3.8%に対して、3年生になると5.1%に増える。
さらに「自分ももしかしたら援助交際するかもしれないと思うか?」という質問に対して、女子高校生の6.7%が「もしかしたらするだろう」と答え、22.9%が「たぶんしないだろう」と曖昧な返事をしている。つまり3割近くはそうした行動に走る可能性を持っていることになる。
「といっても援助交際はお茶や食事を一緒にするだけだろう」と考えている大人がいるとすれば呑気すぎる。
実は上記の調査によれば「話相手だけの約束で食事した後、『ホテルに行ってくれたら、もう5万円、お小遣いをあげる』と言われたらどうするか」という問いに対して、「すぐ断る」と答えたのは85.5%に過ぎない。逆に「相手が好みならそうする」という答が10%近くもある。
おカネ次第という発想が一部の少女には当然のように受けとめられている。もちろん買う側の愚劣さや、エリートといわれる連中がカネに這いつくばる様を見れば子供たちだけを非難できないが……。
このような現状を大人は狼狽しながら憂えるだけだが、本人たちは「援助交際している人は、誰にも迷惑をかけていないし、本人も相手もいいのだから非難を受けるいわれがない」という考え方を6割近くが肯定しているのである。この論理に正面切って、反論できる大人がどれほどいるだろうか。

自分を大切に思えない

だが現実はこうした売買春行為が少女自身の心も身体も傷つけている。
高知県にある大栃高等学校保健室のホームページには同校2年生による「高校生と赤ちゃんのふれあい体験学習」のリポートと、校内での性に関するアンケート結果などが掲載されている。
この体験学習は大栃高校の立地する物部村の事業として行われているものだ。赤ちゃんを抱っこしたり、お母さんたちから妊娠した時の話を聞くだけでなく、避妊方法などについても学んでいる。
リポートによれば高知県の人工妊娠中絶は全国ワースト・ワンで、年間約3500人、その内10代が350人もいるという。生徒たちもその事実に驚くと同時にクラミジアやエイズなどの性感染症の危険を初めて認識したようだ。
アンケート結果では驚いたことに「性についての興味や関心がない」と答えた女子が69%もいた。この予想外の結果について保健委員の生徒たちは「性は不純なもので、自分がそのようなことに興味があることを女子は認めたくないのか、あるいはやはり恥ずかしいのでは」と分析している。
生徒たちは性に関する知識や赤ちゃんとの触れ合いを通して、性が単なる欲望の対象だけでなく、命に結びついていることを感じ取っている。
島根県警察本部のホームページでは援助交際の危険を犯罪との結び付きから警告している。「援助交際」というコーナーには安易に援助交際に走り、自分と家族を傷つけていく少女を描いた柿本安芸子さんの小説「とけたアイスクリーム」などが掲載されているが、決しておカネだけの動機ではない少女たちの複雑さが浮き彫りにされている。
それは親と子の関係である。ある小学校の保健の先生である「ゆうこせんせ」はホームページで小学生からの悩みについて答えている。
「せぇきょぉいくin保健室」というコーナーでは保健室でゆうこせんせが子供たちに話していることの一部が紹介されているが、「セックスってなぁに?」と子供に聞かれたときが、家庭での性教育の最大のチャンスだという。
「援助交際にしても、薬物使用の低年齢化にしても、問題の根っこをずっとたどって行くと全て、その子が『自分自身(からだも心も命も個性も全てひっくるめて)を大切に思えないこと』に行きつくんじゃないかなって思ってます。自分が大切に思えないから、他の誰かも大切にしようなんて思わない。将来の自分なんて想像したくもない、今日だけ良ければいい。自分がどうなったって、誰も何とも思わない。でも、実際そんなメディアで強調されるような子たちばっかりじゃないですよ」とゆうこせんせはいう。
セックスと愛情と命について小学校時代から親がどれだけ真剣に話すことができるか。子供はそれをじっと見ている。
こうした親や子供たちのために作られたホームページが「思春期ブルー」である。作者は都立母子保健院小児科医長の北島晴夫先生。思春期に起こる身体や心の症状の解説、親の接し方などが書かれているだけでなく、掲示板では悩みを抱える親の質問などを受け付けている。
最後に「思春期のこころ&カラダ・性の相談室」を紹介しておきたい。これは神戸市にある「石川クリニック」に併設された「思春期外来」が発展したボランティア団体による運営で、子供たちからの電話相談に答えると共に最も多い質問やその回答などが掲載されている。また性教育用の教材販売や講師派遣も行っているので、学校の先生にも役立つはずだ。

<チャイルド・リサーチ・ネット
島根県警察
思春期ブルー研究所

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